■ 11_01. アナログ と デジタル ■

  

  1980年頃の話ですが、、、

  「単票 と 連続帳票 の違い」をお客様に尋ねられ、スター営業マン「高森修」が答えました、、、

  「単票と連続帳票の違いですか?ティッシュ・ペーパーとトイレット・ペーパーの違いですね〜」

  「なるほど!良くわかったよ」 と笑いながらお客様がしきりに頷かれたのを今でも覚えています。

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  高森修氏は、当時の会社の後輩でしたが、SEから営業に変ったワタシの先生で、上司でした。

  細身で長身、甘いマスク、ポップコンで準優勝、バスケの選手、数学に強く、美人を口説きまくる〜

  強烈な自信家で、「だってボクはスーパー・スターだから」が決め台詞でした。

  ワタシの女房ですら「高森さんが言うたら似合うワ」と認める稀有な存在でしたが

  彼は、ワタシより先にその会社を退職、東京で会社を立ち上げて成功し、娘さんが3人とか、、、

  

  デジタルとアナログの対比 も、単票と連続帳票の対比 に似ています。

  材料は同じでも、デジタルは数で表現し、アナログは量で表現します。

  

  たいてい、デジタル時計の秒針は秒単位で動き、アナログ時計の針はジリジリ途切れなく動きます。

  アナログ時計の秒針は 途切れのない変化量を表しています。(実際は歯車でカクカク動きますが)

  

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■ レコード盤(機械式録音)

  

  CDが登場するまで、音楽は、たいていレコード盤に記録して販売されていました。

  最初期のレコードは、蓄音器で再生していました。

  レコード針でレコード盤の溝をなぞり、針の振動を拡声器で拡大して音楽を再生しました。

  レコードに録音するときは、集音器に向かって演奏し、針の振動でレコード盤に溝を掘ったのです。

  製造工程はもっと複雑ですが、話を簡単にするために、細かな部分は割愛します

  

  ・ 録音するときは、音楽を演奏する=空気が振動する → 針が振動する → レコード盤に溝を振る

  ・ 再生するときは、レコード盤の溝を針でなぞる → 針が振動する → 空気が振動する=音楽が流れる

  

  これは、エジソンが発明した蓄音器の原理ですが、ちゃんと再生と録音ができました。(機械式録音)

  

  「ベルリナー式円盤蓄音機」  金沢高等工業専門学校のサイトより

  

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■ レコード盤(電気式録音)

  

  時代は進み、レコード盤に溝を掘って録音するときに電気を使うようになりました。(電気式録音)

  電気式録音になっても、空気の振動を音溝に掘り込んでいるのは同じです。

  

  さらに進んで、再生するときも電気を使うようになりました。これがレコードプレーヤーです。

  レコード盤は同じですが、針から先が電気仕掛けになりました。

  針の振動をカートリッジが電流の変化に換え、これを増幅して、スピーカーから音楽を再生します。

  

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  機械式でも電気式でも、

  音楽を録音するときは、空気の振動を「音溝」というデコボコに置き換えているわけです。

  音楽を再生するときは、「音溝」というデコボコを、空気の振動に置き換えているわけです。

  空気の振動も、音溝のデコボコも、しなやかな量の変化=「波」です。

  この、しなやかな量の変化=「波」を アナログデータ といいます。

  レコード盤は、アナログデータ の「音楽」を、アナログデータ の「音溝」に置き換えているのです。

  

  

■ デジタルデータとは

  

  デジタルデータ とは?アナログデータ を数値に置き換えたものです。

  レコード盤の「音溝」が アナログデータ で、CD盤に記録されているのが デジタルデータ です。

  

  空気の振動は、しなやかな量の変化=「波」、といいましたが、

  波の断面を細切りにして縦棒グラフの連続の様にしたイメージが デジタルデータ です。

  音の波形を一定間隔で測った波の高さ(数値)に置き換え デジタルデータ にします。

  40Hzの重低音なら1秒間に40個のサイン波で、1つの波は約1100個のサンプルを使います。

  細切りにして波の高さを測り数値に置き換えることをサンプリングといいます。

  

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  デジタル(数値)のままでは音にならないので、再生するとき、アナログデータ(波)に戻します。

  デジタルデータ(数値)にするのは、アナログ(波)のままより メリットが大きいからです。

  

  デジタルデータは、数値なので、コンピュータ(パソコン)で容易に取り扱えます。

  通信が容易で、インターネットで利用できます。数値のやり取りで済むからです。

  あらゆる家電にコンピュータが内臓され、デジタル化、ネット化で新しいサービスも増えています。

  

  デジタルデータ なら、経年変化がなく、コピーを繰り返しても劣化しません。

  「1」は何回コピーしても「1」のままで、原理的に「1」が「0」に変わることはないからです。

  レコード盤は聴くたびに音溝がすり減りノイズも増えますが CD や DVD は非接触で摩耗しません。

  

  では、デメリットは何でしょうか?

  録音するときは、アナログデータ を デジタルデータ に変換し、

  再生するときは、デジタルデータ を アナログデータ に変換し直さなければならないので、

  最低2回の変換があり、どうしても変換のたびに元のデータと誤差が生じるので、音が劣化します。

  出始めの音楽CD や デジタルカメラ を、本格志向の人は見向きもしませんでした。

  誤差を縮めるには、サンプリング数を増やし、よりなめらかに波を再現する必要があります。

  

  

■ ハイレゾ音源

  

  技術の進歩で、機器が高性能化し、デジタル は アナログ に近づいています。

  出始めのデジタルカメラは 120万画素程度でしたが、Iphone の内臓カメラが 800万画素を超え、

  サンプリング周波数44.1kHzのCDに対し 192Khzのハイサンプリング音源がダウンロードできます。

  ハイサンプリング音源 とは 高いサンプリング周波数=波のギザギザが細かい・音源のことです。

  

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  CDの音質を超える音声データを総称して ハイレゾ(High Resolution)と呼び、

  2014年に入り、家電メーカーなどが、しきりに宣伝しています。

  ハイサンプリング・デジタル音源を指しているようですが、、、

  活動を終えているバンドや古い音源は、録音された当時の音源から変換することになります。

  1980年代には、たいていデジタル録音に移行してたようで、

  CDの 44.1Khz(音源は48Khz?) から 96Khz や 192Khz にサンプリングし直す訳です。

  

  1960年代〜の名演奏の音源(アナログ・テープ)から、ハイサンプリングでデジタルに変換すれば、

  アナログ・テープの音に近づけますが、、、追い越すには、もう少し時間がかかりそうです、、、

  

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  ハイレゾ音源の全てがアナログ・テープからハイサンプリング・デジタル音源に変換されたのか、

  はなはだ疑問です。(名演奏の音源テープを持っている音楽レーベルは限られています)

  

  ハイレゾは、「解像度が上がり、クリアーに聞こえる」と宣伝されています。

  実際クリアーに聞こえますが、サンプリング周波数が上がると、相応して別の問題が出てきますので、

  それなりの機器(DDC、DAC)を経由させないと、ハイレゾの真価を発揮しないと思います。

  金額の問題でなく、要所をおさえたものを用意すれば、音楽に没頭できるのではないでしょうか。

  

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■ デジタルデータと2進数

  

  デジタルは アナログを数値化したもので、デジタルデータは数値情報を記録したものですが、

  デジタルデータの中身は2進数で、数を 0 と 1 で表現します。

  0、1、10、11、100、101、110、、、という具合です。

  

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  ところで、なぜ2進数なのでしょう、、、

  

  デジタルデータを再生する機器やパソコンは電気仕掛けの機械です。

  実際のところ、数字は理解できません。

  理解できるのは電気の ON ( 流れている )と OFF ( 流れていない )です。

  細かく言えば、磁化の強弱や、磁化の向きで、ON/OFFを判断する媒体もあります。

  電気のONとOFFに、理論的に、数字の0と1を対応させているのです。

  

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  これが、デジタルのデータを2進数で表す理由です。

  デジタルデータが0と1のみで成り立っていることを踏まえ、そのメリットをおさらいしましょう。

  

  デジタルのメリットは、処理、加工、通信が容易に行え、さらに劣化しないというものでした。

  それはデータの中身である 数字 を処理するだけでよいからです。

  さらに言えば、

  データを細分化でき、細分化したまま通信できます。

  大容量のデータを小さい単位に分割し、別々のルート送って、受信先で元に戻します。

  これは、インターネットの通信を支える根本的な仕組みでもあります。

  

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  パケット通信 とは、データをパケット単位に分割して通信するものです。

  地上波デジタル放送は、1つのチャンネルが13のセグメントに分割されて送信されます。

  ハイビジョン放送には12セグメント使い、

  残りの1セグメント(ワンセグ)が移動体向けに使われています。

  

  

  

■ デジタルデータの単位/データサイズ

  

  デジタルデータは0と1の2進数で成り立っています。

  したがって、「0」もしくは「1」の数字1桁分のサイズが最小値になります。

  このデジタルデータ1桁分を、ビット(bit)といい、8bit をまとめたものが 1バイト(Byte)です。

  

  8ビット(bit) =1バイト(Byte)    8桁の2進数(8ビット)が1バイト(Byte)です。

  

  8桁の2進数(8ビット)で何通りのビット列を表現できるでしょうか、、、

  8桁の2進数と、10進数を対応させてみます。

  

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  このように 8桁の2進数(1バイト)で 0 から 255 までの 256通り 表現できます。

  2 の 8乗 = 256、、、、256通り表現できれば、半角英数字は全て表現できます。

  アルファベットはA〜Zの26文字で、小文字を加えても52文字しかありません。

  これに数字を10種類加えて62文字。

  !?”#&% ’( )= < > などの記号を加えても256文字なら十分に足ります。

  〜コンピュータはアメリカ生まれなので、英語が基本になっているんですね〜

  1バイトあれば、英語圏の人々にとって必要な文字や記号をすべて表現できるわけですが、

  日本語や中国語など(漢字)を扱う場合は、256種類で全ての文字を表現できません。

  しかし、2バイト(16ビット)使えば、216 = 65,536 種類の文字を表現できます。

  これらを踏まえて「バイト」単位を、もう少し詳しく見てみましょう。

  

  バイト → キロバイト → メガバイト → ギガバイト → テラバイトと1000倍単位で増えます。

  

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  キロが1,000倍、メガが100万倍、ギガが10億倍、テラが1兆倍と10の累乗で増えていきますが、

  実際は、2の累乗なので正確には異なり、テラの位では、かなりの誤差があります。

  どちらを用いるか状況や用途で異なりますが、普通は、わかりやすい10の累乗を用います。

  データサイズの知識があれば、これらの製品についても理解が深まるのではないでしょうか?

  

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  データの単位は、パソコンの基礎知識なので、とりあえず、丸暗記しましょう。