■ 13_05. 名前解決 ■

  

  コンピュータ名からIPアドレスに変換する仕組みのことを、名前解決といいます。

  コンピュータ名で ping を行なうと、IPアドレスに変換されて実施されます。

  

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■ windowsの名前解決

  

  Windowsネットワークの名前解決は、複数あり、ふつうは以下の優先順位で実行されます。

  

  @ NetBIOS名 で自身の名前キャッシュを調べます。

  A WINSサーバ を利用して探します。

  B NetBIOS名 でブロードキャストして調べます。

  C lmhosts を探します。

  D hosts を探します。

  E DNSサービス を利用して探します。

  

  

■ NetBIOS( ネット・バイオス )

  

  NetBIOS は1980年代に開発された、Windowsネットワークサービスを使うインターフェイスです。

  アプリケーション・プログラムは、NetBIOS で様々なネットワークサービスを受けます。

  NetBIOSの下で実際に通信を管理するプロトコルは、NetBEUI です。

  

  

■ NetBEUI( ネット・ビューイ )

  

  NetBIOS API を使う Windows 95 時代の古〜い通信プロトコルが NetBEUI です。

  ブロードキャストを多用し、ルーティング機能もなく、プロトコルとしては小規模な LAN 向けです。

  コンピュータが自分のNetBIOS名を覚えて ブロードキャストで名前を呼ばれたら答える仕組みです。

  ・ルーティング機能が無く大規模なネットワークに向かない

  ・インターネット(TCP/IP)が普及し、NetBEUIでは、相互接続性に問題がある

  という理由で、NetBEUI は NBT に移行し、Windows 7 から NetBEUI が廃止されています

  

  

■ NBT( NetBIOS Over TCP/IP )

  

  一気に TCP/IP に移行すると NetBEUI や NetBIOS でファイルやプリンタ共有ができなくなるという

  Microsoft戦略で、TCP/IP 上で NetBIOS を使えるようにしたのが NBTです。

  NBT により ルータを超えるネットワークでも NetBIOSのアプリケーションをそのまま使えます。

  

  

■ NetBIOS名

  

  NetBIOS で通信する場合、通信相手を特定するのに NetBIOS名 を使います。

  NetBIOS名 は16バイト固定、最後の1バイトがサフィックスです。

  NetBIOS名 は、システムの起動時、マシンごとに動的に登録されます。

  予めコンピュータに割り当てられた NetBIOS名を、

  システムの起動時、ネットワークに ブロードキャスト したり、

  WINSサーバ に登録したりして、それが認められて初めて Windows ネットワークに参加できます。

  IPアドレス さえ割り当てられれば動作する TCP/IP とは、この点が異なります。

  

  

■ NetBIOS名前キャッシュ

  

  名前解決 の結果は、一定時間(初期値=600秒)だけ NetBIOS名前キャッシュ に格納されます。

  次に通信するとき キャッシュに NetBIOS名 があれば、キャッシュから IPアドレスを取り出します。

  NetBIOS名前キャッシュ の内容は DOS窓から nbtstat -c コマンドで確認できます。

  

  

■ WINS ( Windows Internet Name Service )

  

  各コンピュータが NetBIOS名 と IPアドレス を WINSサーバーに登録しておき、利用したいときは

  WINSサーバー に相手コンピュータの NetBIOS名 で問い合わせ、相手のIPアドレスを取得します。

  

  

■ NetBIOS名 のブロードキャスト

  

  ノードタイプが4つあり、タイプによって、サービスの優先順位が変わります。

  (Windows7のデフォルトは hybrid です)

  

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■ lmhostsファイルと hostsファイル

  

  Windowsネットワークで静的な(予め手で登録する)名前解決手段は2つあります。

  hostsファイルは、TCP/IP で使われてきた、基本的な名前解決手段です。

  lmhostsファイルは NBT で使われてきた名前解決で、NetBIOS名と IPアドレス を対応付けします。

  いずれも、たいてい c:\windows\system32\drivers\etc フォルダに格納されています。

  

  

■ DNS( Domain Name System )サービス

  

  DNSは DNSサーバを参照し ホスト名からホストのIPアドレスを世界規模で検索するシステムです。

  Microsoftは Active Directory で、Windowsネットワークの名前解決に DNS を導入しました。

  Windowsも本格的に TCP/IP + DNS という仕組みを採用したわけですが、(いつもと違い何故か)

  過去の資産を継承するため 、NBT も、WINS も混在する、ややこしい状態になっています。

  

  

■ Windows7 で、NBT を有効にする設定方法

  

  (初期設定でNBTが有効になっているので、普通は何もしなくてOKです)

  スタート → コントロールパネル → ネットワークとインターネット → ネットワークと共有センター

  → ローカルエリア接続 をクリックします。

  

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  → プロパティー をクリックします。

  

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  → TCP/IP(IPv4) → プロパティ をクリックします。

  

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  → 詳細設定 をクリックします。

  

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  → WINS → NetBIOS設定=規定値 → [ OK→ OK → 閉じる → 閉じる → ? ]

  で、NBTを有効にします。

  

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■ NBTの不確実性

  

  ネットワーク上のパソコンにコンピュータ名をつけ、コンピュータ名で互いを認識し合ってみます。

  右側のパソコンにAMIというコンピュータ名をつけてましたが 左のOSAMU-PCと統一感がなくて、

  AMI-PC というコンピュータ名に修正しました。

  

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  AMIAMI-PC に変更した直後、OSAMU-PC のExplorer でネットワークを見ました。

  

  Manual_13_05_09

  

  AMI というコンピュータ名が表示されているのでクリックしてみると、、、

  

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  AMIAMI-PC に変更済みなので、AMIというコンピュータ名が表示されてる事が異常です。

  NBTは、ネットワーク上のコンピュータ名を記憶しているファイルを定期的に見に行きますが、

  見に行く間隔が長くて、変更がリアルタイムに反映されないのです。

  しばらく時間をおいて、Explorer でネットワークを見ると、、

  

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  AMI というコンピュータ名は消えていました。やれやれ。

  

  

■ UNC( Universal Naming Convention ) 汎用的な名前付け規則

  

  UNCは Windowsでローカルのファイル名とネットワーク上のファイル名を同様に扱う規則です。

  例えば、比較試聴.xls というExcelファイルが パブリックのドキュメントフォルダにあります。

  

  Manual_13_05_12

  

  Windows7の共有文書(パブリックのドキュメント)は下図のような位置と決まっていて、

  比較試聴.xls はその中に入ります。

  

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  カレント・ドライブ とは、明示的にドライブ名を指定しないとき、Windowsが

  「 ココでよろしかったたんでしょうか? 」 と、日本文化も国語も無視した例の言いかたで、

  フォルダやファイルを読み書きするドライブのことです。

  初期設定では Cドライブ(1台目のハードディスク)がカレント・ドライブになります。

  Users は Administrator に対する言葉ですが、何故か Users の下に Public(共有)がきます。

  

  UNCに照らすと比較試聴.xlsの絶対パスは c:\Users\Public\Documents\比較試聴.xls になります。

  

  絶対パスは、頭から尻尾まで省略しない パス で、

  パスは、ドライブやフォルダやファイルの位置関係と階層を示す表記です。

  論理的にネットワークを理解するには、抽象的な概念を覚えるほうが早いのですが、

  CGIから引き継ぐパスなどの概念を知らないと、今のところ、ネットワークを理解できません。

  情報通信の世界は、まだまだユーザーフレンドリーになりません。困ったものです〜

  

  

  同じExcelファイルを ネットワークの共有フォルダ にコピーしました。

  

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  ネットワーク上のフォルダやファイルのパスは、ネットワークのグループ名から始まります。

  

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  この比較試聴.xlsの絶対パスは、\\OSAMU-PC\Users\Public\Documents\比較試聴.xls です。

  アナタの理屈に合うかどうかわかりませんが、Windowsではこういう決まりになっています。

  

  

■ NBT ブラウジングの問題

  

  ファイルを共有するコンピュータの一覧が見えるしくみを コンピュータ・ブラウジング といいます。

  例えば、スタート → プログラムとファイルの検索で、

  \\[コンピュータ名] と入力すると、コンピュータ一覧が表示されます。

  \\[IPアドレス] と入力しても、同様にコンピュータの一覧が表示されます。

  

  \\osamupc と入力した結果

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  \\128.4.3.19と入力した結果

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  ブラウジングで表示されてないパソコンが コンピュータの検索で見つかる場合もあります。

  詳しくは、前述のNBTの不確実性を参照してください。

  

  

■ SMB( Server Message Block ) エス・エム・ビー

  

  SMBは、Windowsネットワークでファイル共有やプリンタ共有するときの共有プロトコルです。

  ファイルやプリンタを共有するときに NBTの 名前解決 を使います。

  ことばで説明するとややこしいので、例を使ってSMBを説明します。

  

  

■ MFPでスキャンした文書をWindowsパソコンの共有フォルダに保存します、、、

  

  例えば、パソコンとMFPをLANで接続し、SMBでファイル共有しています。

  MFPのスキャナで文書を読み込み、共有フォルダに放り込む手順を説明します。

  

  LANの接続イメージ

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  フォルダの共有イメージ

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  設定条件は以下の通りです

   ・ ユーザーアカウント OSAMU

   ・ パスワード      Password

   ・ 共有フォルダー名  PDF-Scan

  

  

  パソコンでユーザーアカウントを作成します

   ・スタート → コントロールパネル → ユーザーアカウント → 新しいアカウントの作成

    をクリックします。

   ・[新しいアカウント名] にOSAMU と入力します。

   ・標準ユーザー にチェックが入っている状態で、アカウントの作成 をクリックします。

   ・ユーザーアカウントが作成されますが、未だパスワードが無い状態です。

   ・OSAMU ユーザーをクリックして、パスワードの作成 をクリックします。

   ・新しいパスワードPassword、新しいパスワード確認、ヒントを入力し、

   ・パスワードの作成 をクリックします。

  

  

  共有フォルダーを作成します

  

   ・ コンピュータ名を確認します。

    スタート → コントロールパネル → システムとセキュリティ → システム 〜 以下を確認します。

     [ コンピューター名    ]  OSAMU-PC

     [ フルコンピューター名 ]  OSAMU-PC

     [ ワークグループ     ]  WORKGROUP

  

   ・ パソコンに共有フォルダーを作成します。

    デスクトップ上で右クリックし、新規作成 → フォルダー で新規フォルダーを作成します。

     [ フォルダーの名称 ] を PDF-Scan にします。

  

   ・ 共有のアクセス権を設定します。

    PDF-Scanフォルダーを右クリック → プロパティ →「共有」タブ → 詳細な共有 をクリックし

    「このフォルダーを共有する」にチェックを入れ、「アクセス許可」をクリックします。

    共有アクセス許可 Everyone

      ↓

      Everyoneのアクセス許可

        フルコントロール は 許可しません。

        変更・読み取り の 許可にチェックを入れます。

    OK → OK で、PDF-Scan のプロパティに戻ります。

  

   ・ セキュリティのアクセス権を設定します。

    「セキュリティ」タブ → 編集 をクリックします。

    「追加」をクリックします。

    「選択するオブジェクト名を入力してください」に ユーザーアカウント名OSAMUを入力し

    「名前の確認」をクリックします。

    ユーザー名に下線が入ったら、「OK」をクリックします。

    ユーザー名が、コンピュータ名\ユーザー名となる場合もあります。

    グループ名またはユーザー名 の欄に OSAMU が入っていることを確認し、

    変更のアクセス許可にチェックが入っていることを確認したら、「OK」をクリックします。

  

    これで、データ送信先の共有フォルダーが作成されました。

  

  

  共有フォルダに投稿します

   アカウント作成も共有フォルダ作成もパソコン側で済んでるので、難しいことは何も残ってません。

   MFPメーカー、機種により操作方法が異なりますので、当該MFPのマニュアルを参照して下さい。

   たいてい、

   投稿する共有フォルダのあるパソコン名、アカウント、パスワード、共有フォルダ名、ファイル形式

   などを指定して送信すると、[日付]+[時間]+[任意文字].pdf として投稿できると思います。